始まったところですが…ちょこっと寄り道を。洋服地&ミシンで着物を縫う時の生地選びの話って、
しっかり書いたことが無かったんじゃないか…と思ったので一度まとめてみようと思いまする〜
洋服地の着物、私の場合は自分で着る分だけしか縫わないけどそれでも10枚くらいは作ったかしら…?
おおこれはいい感じ!と思ったり、あれれ?な仕上がりになったり…
作りながら得た経験値に今の仕事(機織り工場)に携わるようになって知った生地のマニアックな(?)
知識も加えて、服地で着物を縫うならどんな生地がいいのかな〜を、考えてみたいと思うよ!

仕事場の糸たち。
生地屋さんには色々な生地があって、ここから自由に選んで着物が作れる〜!となると
すっごく夢が膨らむのだけれど、実際は並んでいる生地のすべてが着物に向くわけではないんだよね…
洋服地に様々な種類があるのは、たぶん仕立てる洋服のデザインが様々だから。
スルスルと落ち感があるブラウス、ふんわり広がるスカート、かっちり衿が立ったジャケット
丈夫で作業しやすいズボン…生地のそれぞれに向く服のデザインがあるわけで。
向き不向きの問題だからどんな洋服地でも着物に仕立てられないわけじゃないだろうけど、
着物になったときに使いやすい・着やすい生地を選ぶことができたら、きっと長く使えるし愛着も湧くはずっ
じゃあ着物というデザインの特徴は何でせう…
我ながら尻がやばい!と思った一枚(しろめ)
「体に"巻きつける"デザイン」
なので着た時に横方向に力がかかりがち。特にお尻の部分は結構な力が!ミシンで縫製する場合
ミシン目には力を吸収するゆるみがない(着物仕立てる専用のミシンというものもあるらしいので、
そういったもので縫えばまた違うのかもだけど)ので、直接かかる力に耐えうる生地を選ぶ必要あり。
目の粗い生地、薄い生地は縫い目の生地が開いたり、最悪裂けてきちゃう(滑脱)恐れがあるよ!
また巻きつける力に対して「面」を保つハリ感が無いと、着た時妙なところに皺が、なんてことも。
これは荒い・薄い生地のほか伸縮性のある生地、やわらかい生地にも起きやすいんじゃないかな。
一度柔らかいウール地を縫ったら着心地いいのにふにゃシワになったことがあったっけ…(涙)

「全身にまとうデザインだから、生地がたっぷり」
首の下から足首までをカバーする服(しかも前身ごろは二重になってる)というのは洋服では
なかなか無いのでは…!かっちりとした生地は縫製もしやすいし着た時のラインもきれいなんだけど、
ジャケットだけ、ズボンだけなら耐えられる重さでも、着物になるとずっしり重くなっちゃう恐れが。
ここは体力との相談だけども…女性ならボトムやジャケットにするような重さの生地を着物でまとうのは
ちょっと辛いのではないかしらん。
ちなみに織物っていうのは、経糸と緯糸がこんな風に組み合わさって出来てる。
組み合わせ方によって色々な織の組織が存在するのだけど…私もあまり詳しくはないので(汗)
たとえばデニムは綾織(あやおり)。よーく見ると織り目に斜めの線が見えるはず!
ある一定の広さの中に糸が何本いるか?を織の密度というけれど、糸の本数が少なければ
目の粗い生地になるし、多ければ目の込んだ生地になる。さらに経糸(たていと)の本数と緯糸(よこいと)の
本数も生地によって違っていて、着物地の場合は緯糸のほうが本数がたくさんな場合が多いそう。
やはり横方向の力に耐えやすくするためじゃないかしら?
まとめると…
・全身にまとっても負担にならない程度に軽く
・ミシン目にかかる力に耐えられるだけの強度を持ち
・巻きつけて着る際にキレイな面を保てる適度なハリを持つ生地
…がベストでしょうか!!
とはいえ生地屋さんの店頭で生地を触って一発でむむこれは!とわかる人は少ないはず(汗)
少々トライ&エラーが生じるのは覚悟の上でチャレンジしてみるべきかも、かも。
といいつつ実際お店でよく見かけそうな生地を、次回考察してみたいと思いますぞ〜
生地をよおーく見たい時に使う、インチメガネ(うちの機織りで使う長さの単位ってインチなの)。
リネンテスターとも言うのね。生地についている小さなゴミをとったり、糸が何本あるか数えたり、
この糸どうなってるの?と観察する為にのぞいたり…糸一本一本の状態までよっく見えまする。
仕事場ではみんなで交代で使っているのだけど、楽天でも売っているのか〜
マイ・インチメガネ欲しいかも…(笑)
こないだ雑貨屋さんでこれを買ったのだけど、本数数えたりはちょっと難しい(小さいしね)
でも何でもどアップに見えるのが楽しいみたいで、子供にはうけた(笑)